出品区の設定について

改良の中核的集団である和牛改良組合の活動を活性化させ、生産・改良基盤の強化を図るねらいから、種牛の部の出品者については「和牛改良組合の会員」であることとしました。

また、能力共進会としてふさわしい大会にするため、種牛の部の全区の出品条件に繁殖能力と産肉能力の育種価条件を設定しました。また、総合評価群及び肉牛の部の全区において、新たな枝肉の価値観の醸成や定着を狙うことを目的とし、特に第7区では脂肪の質の育種価評価の実施を条件に加えるとともに、食味性の向上に寄与する種雄牛の発掘を促すような年齢制限としました。その他の区においても、改良速度の向上を図るには、世代間隔の短縮も重要であることから、引き続き父牛に年齢制限を設定した区を設けました。

遺伝的多様性の確保並びに地域の特色ある牛づくりについては、前回大会までの系統雌牛群の趣旨を継承し、またその取り組みの充実と発展を促すため、地域の特色ある系統から造成された種雄牛候補を出品する区や、地域で代々保留されてきた母系を活用した群出品区を設定しています。また、両親ともに自道府県産であるなど、地域の改良素材を活用する出品区も設けています。
また、和牛を飼育する高校・農業大学校からの出品を対象とした特別区「高校及び農業大学校」も設け、若い担い手の育成を目指します。

①若雄(1区)
和牛集団の遺伝的多様性の維持・拡大と、地域における特色ある系統の再構築と造成を目指し、将来にわたって系統の特色ある遺伝子を保留・固定していくための種雄牛候補の造成を目的とした区です。
出品牛を造成する系統は、地域における遺伝的多様性の維持・拡大を担うもので、地域の特色を備えていることとし、出品牛は系統内から造成された種雄牛候補とします。また、出品牛は産肉能力について、出品牛の母牛には繁殖能力について、一定以上の水準が求められます。
なお、この区の対象牛については、後代検定により早期に能力を確認します。

②若雌(2~3区)
改良組合活動の活性化による増頭意欲の向上とともに、全共参加者の拡大を促すことを狙いとした出品区です。
個人による個体出品で、出品者は、本会認定の「改良組合の会員」であることが条件です。
出品牛には産肉能力、その母牛には繁殖能力について、一定以上の水準が求められます。
なお、この区の対象牛を積極的に改良組合内に選抜・保留し、地域全体の生産基盤の安定と拡充につなげます。

③繁殖雌牛群(4区)
地域の特色ある雌牛集団づくりの実現と、育種組合及び改良組合活動による改良成果の確認と技術向上を目的とした出品区です。
本会認定の育種組合または改良組合による出品で、成雌牛3頭を1群として出品されます。
出品牛は、3代以上(本牛-母-母方祖母)にわたり自道府県内で生産されてきた、地域の特色を備えている雌牛です。出品牛は、産肉能力と繁殖能力について、一定以上の水準が求められます。
なお、この区の対象牛及びその後代について、積極的に育種組合及び改良組合内で選抜・保留し、地域の特色ある牛づくりと生産基盤の安定と拡充につなげます。

④高等登録群(5区)
母-娘-孫娘に亘る改良の成果の確認と、優良雌牛系統の地域への保留推進と拡大を狙いとした出品区です。
本会認定の改良組合による出品で、高等登録の母牛と娘牛及び孫娘牛の直系3代にわたる3頭を1群として出品されます。
この区では、改良の中核となる高等登録の意義を再確認し、地域の生産・改良基盤の強化のため、高等登録の促進につなげます。

⑤総合評価群(6区)
種牛能力と産肉能力を総合評価する出品区で、地域の改良の中核を担う種雄牛の産子を実証展示し、各地域の改良成果を確認することを狙いとした出品区です。
出品単位は本会認定の育種組合ならびに本会支所とし、道府県の改良方針に基づき計画的に造成された同一種雄牛の産子を種牛群(4頭)と肉牛群(3頭)合わせて1群として出品されます。
出品牛の父牛には年齢の制限が設けられ、種牛群の出品牛は繁殖能力と産肉能力について、肉牛群の出品牛は産肉能力について、それぞれ一定以上の水準が求められます。また、種牛群、肉牛群ともに、自道府県内で生産された両親からの産子が出品されます。
この区の対象種雄牛により生産された優良雌牛を積極的に保留することで、種牛能力と産肉能力をバランス良く備えた次世代の繁殖雌牛集団づくりにつなげます。

⑥脂肪の質評価群 (7区)
脂肪の質の育種価評価体制の構築により、脂肪の質の改良につなげることを目的とした出品区です。
個人またはグループによる出品で、同一種雄牛の産子の去勢肥育牛3頭を1群として出品されます。
出品牛の父牛は、道府県の改良方針に基づき、計画的に造成されたものとし、一価不飽和脂肪酸(MUFA)またはオレイン酸の育種価が算出されていることが求められます。また、父牛には年齢の制限が設けられ、産肉能力について一定以上の水準が求められます。
この区により脂肪の質の能力把握から、種雄牛造成の体制を構築し、脂肪の質をはじめとする「新たな枝肉の価値観」の醸成と定着につなげます。

⑦去勢肥育牛(8区)
効率的でかつ美味しい和牛肉生産を目指し、改良された和牛の能力と肥育技術により、和牛の魅力を最大限に引き出すことを目的とした出品区です。
個人による個体出品で、1つの道府県から2頭までの去勢肥育牛が単品として出品されます。
出品牛の父牛には年齢の制限が設けられ、産肉能力について一定以上の水準が求められます。
この区の取り組みを通じて、繁殖・肥育の連携を強め、最適な生産サイクルの追究につなげます。

⑧高校及び農業大学校(特別区)
農業教育とその学習活動を通じた和牛への理解醸成と担い手の育成を目的とした区です。
和牛を飼育する高校及び農業大学校で生産・飼育された若雌1頭が出品され、出品牛と取り組み発表に対する総合的な審査を行います。
この区では、和牛生産・飼育を学ぶ学生の意欲向上を図るとともに、学生による和牛の魅力の発信を通じ、将来にわたり和牛生産に取り組む人材の育成・確保を目指します。