第22回目となった本セミナーでは,DNA解析情報の活用をテーマとして開催し,はじめに,京都大学の祝前教授より「ゲノム情報に基づく遺伝的能力の評価について」と題して,とくにゲノミック予測(ゲノム育種価予測)の理論やその特徴等について講義をいただきました。ゲノム育種価予測については正確度の向上や遺伝的多様性に配慮した選抜の可能性,世代間隔の短縮などの利点が考えられますが,実際に応用するには対象集団やSNP効果については充分な検証を行う必要があります。
また,現行のアニマルモデルBLUP法における選抜に偏りを生じさせる可能性もあり,慎重に検討していく必要があるとの提言をいただきました。
また,京都産業大学の野村教授からは「SNP情報を用いた黒毛和種の系統再構築と遺伝的多様性の評価」として,SNP情報を用いた系統分類の手法である判別分析の考え方と結果について,また,SNP情報を用いた集団の有効な大きさの推定について報告をいただきました。当日は24道府県から44名の出席があり,有意義なセミナーとなりました。
開催日:平成28年1月12日(火)10:00 ~ 15:00
場 所:ハートピア京都大会議室(京都市)
出席者:約68名
[内容]
1.ゲノム情報に基づく遺伝的能力の評価について
京都大学大学院農学研究科 祝 前 博 明
2.遺伝的多様性の確保に向けたSNP情報の活用方法について
1)SNP情報による種雄牛の系統分類(ストラクチャー分析)について
全国和牛登録協会総務課 山 口 由 紀
2)SNP情報を用いた黒毛和種の系統再構築と遺伝的多様性の評価
京都産業大学総合生命科学部 野 村 哲 郎
3)雌牛集団を対象とした集団構造の分析
全国和牛登録協会総務課 山 口 由 紀