○第11回全国和牛能力共進会の役割
「能力共進会」の名称のもと,和牛の能力と斉一性の向上を目指す本共進会も, 今回で11回目を迎えます。本共進会の特徴は,それぞれの時代における和牛生産と改良上の 重要課題を反映した出品区を設定し,日常の登録事業を通じた改良成果の検証と併せて, 次世代を託せる素材の選抜と展示により,今後の和牛改良の方向性をも明示することにあります。
そのため,本共進会では,開催のねらいに基づくテーマを掲げ,その実現に努めてきました。
これまでの共進会では,
第1回(昭和41年・岡山県) | 「和牛は肉用牛たりうるか」 |
第2回(昭和45年・鹿児島県) | 「日本独特の肉用種を完成させよう」 |
第3回(昭和52年・宮崎県) | 「和牛を農家経営に定着させよう」 |
第4回(昭和57年・福島県) | 「和牛改良組合を発展させよう」 |
第5回(昭和62年・島根県) | 「着実に伸ばそう和牛の子とり規模」 |
第6回(平成4年・大分県) | 「めざそう国際競争に打ち勝つ和牛生産」 |
第7回(平成9年・岩手県) | 「育種価とファイトで伸ばす和牛生産」 |
第8回(平成14年・岐阜県) | 「若い力と育種価で早めよう和牛改良,伸ばそう生産」 |
第9回(平成19年・鳥取県) | 「和牛再発見!-地域で築こう和牛の未来-」 |
第10回(平成24年・長崎県) | 「和牛維新! 地域で伸ばそう生産力 築こう豊かな食文化」 |
というテーマが設定され,それぞれ所期の成果を収めてきました。
前回大会では「和牛維新」をテーマに掲げ,より効率的な和牛生産と改良に向けた基盤づくりを最重点事項と位置付け,和牛の経済形質の向上に貢献できる合理的な指標である「種牛審査標準」の改正などに着手しました。
今回は,「種牛審査標準」が適用されて5年が経過した大会となり,最終比較審査の開催年次には繁殖雌牛集団の過半数がこの「種牛審査標準」による選抜を経た牛群で構成されます。 したがって,肉用種としての特徴の堅持と種牛性の一層の改良という課題に取り組んできた成果を積み上げながら,改良をより確実なものとし,開催テーマ「高めよう生産力 伝えよう和牛力 明日へつなぐ和牛生産」のもと,「和牛維新」の達成に向けた取り組みを推し進めていきます。