会長からの御挨拶

会長理事 向井文雄
会長理事 向井文雄

全国和牛登録協会のホームページにおいで頂き有り難うございます。

全国和牛登録協会は,平成24年4月1日をもって,特例民法法人から公益社団法人として新たな出発をいたしました。
昭和23年3月3日雛の節句に和牛の登録と育種を専門とする技術者からなる組織として発足以来64年,農家を会員とする登録団体として「信用は登録の生命なり」を基本理念に,登録事業を通じた育種改良に取り組んでまいりました。戦後の厳しい世相のなか,わが国固有の実用家畜である在来和牛の改良による農業生産の安定化を目指して,戦後の復興期から高度経済成長という激動期,世界的規模での食料の生産流通という国際化へとめまぐるしく変化する社会経済環境の時代を経て,多くの関係者が,文字通り和牛の生き残りをかけて,社会が要求する能力を備えた品種へと一歩一歩育種改良を進めてまいりました。いまや,和牛は農用牛という農業経営の伴侶から「Wagyu」として世界に誇る肉用品種としてわが国農業の基幹作目に成長し,国際化が加速する今日,和牛はわが国が育てた遺伝資源,貴重な知的財産としてますます重要になっております。

このたび,国の公益法人の見直しに際して,全国和牛登録協会が進めてきた登録・育種事業が和牛経営の向上による地域社会の活性化に加えて,良質の牛肉を安定的かつ持続的に供給し,わが国の安全安心の食料生産に大きく貢献すると評価され,公益法人への移行が認定されました。
公益社団法人への移行を契機として,全国和牛登録協会と協会の構成員である全国の会員が一丸となって,厳正な登記・登録の実施と全国各地の育種改良基盤の強化や人材育成など各種の公益事業を一層推進するとともに,広く一般の皆様にも和牛がわが国の貴重な生産畜産物であり,風土と伝統の所産であることを知っていただくことにより和牛の価値観をさらに高め,産地の活性化に寄与していくことが,美味しい和牛肉を安定的に供給するために欠かせない使命であると決意を新たにしております。

平成29年9月には宮城県仙台市において第11回全国和牛能力共進会が開催されます。全国和牛能力共進会は,5年という年限を区切って時代が求める和牛像を実証展示し,全国の和牛生産者が一堂に会して改良成果を競い合い,飼養管理技術を切磋琢磨する一大行事であり,今日の和牛をもたらした原動力といえる大会です。宮城大会では,歴史と風土に培われた我が国固有の財産である和牛の魅力を多くの方々に伝えると共に,東日本大震災からの復興に向け被災地域と全国の産地が力強く歩む姿を発信したいと考えています。

平成29年4月1日
公益社団法人 全国和牛登録協会 会長 向井 文雄